2025年も舞台をそれなりに見に行った。 数え方にもよるが、朗読パートのある声優イベントを除外、落語や朗読劇を計上という計算方法をとると、合計で25演目38公演であった。 週1で舞台を見に行っているとは恐ろしい。
今回はその25本の中からよかったものを10選という形で挙げていく。 感想は月別の記事で書いてしまったので、選定理由を主に記載する。 舞台名だけ見たければ目次をあたって欲しい。
舞台『夢のかけらを歌に乗せたら』
構成要素として好きなものが多い舞台だった。
まず、ミュージカルが好きなので歌が多めの演劇自体が好ましく思う。 元アイドルも多く、歌も慣れている。
また、ミュージカル劇団を作るという題材もよかった。 スタァライトから入った事もあってか、お芝居をやるお芝居というテーマは好きなものだ。
更にそれらのバランスが上手く取られていたように思う。 ミュージカルを作ろうとするお話なので完全にミュージカルになるわけでもなく、しかし歌は多めにやる。 ミュージカルそのものではなく、ミュージカル寄りの舞台といういい塩梅だった。
舞台「まちカドまぞく」
コメディが苦手とはしばしば言っているものの、こういうキュート目なものなら楽しめるとよくわかった。 吹き出しみたいなアニメ的演出も、こういうテイストだと物理的にポップを出しても違和感は薄い。 考えてみればぼっちでも似たような感じだったかもしれない。
総じて、可愛いから入ってくれれば、こちらも可愛いから受けられるから楽しみやすいという話に思う。 やはり可愛いは大事だ。 きらら系のコンテンツはあまり舞台化されないが、私とは相性がよさそうなのでどんどんやってほしい。
舞台『アンダースタディ』
舞台役者の復讐劇という題材自体が好みだったように思う。 先にも述べた通り、舞台の舞台は好きな題材だ。 復讐劇も結構好きな題材だし、舞台としてはよくあるテーマである。 舞台の舞台をやるなら取り扱うのに丁度よかっただろう。
恐らく有名な復讐譚を下敷きにしているように思うのだが、いかんせん知識がないので悔しかった。 もっと古典を学ぶべきと思いつつ、全然学べていない。 今年はそういう年にできたらいいなぁ。
少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Rerise
次へ次へと進んでいく中等部こそが昨年では最もスタァライトを体現していたように思う。 その成長や変化こそがきらめきであって、私の求めるものだ。 Reriseにはその輝きがあった。
多分、そういうものって作ろうとして作れるものではないし、作るにしたって作れる時期が限定されている。 キャストがキャラクタと一緒に成長していける時間は短い。 だからこそこうして区切りまでできた事が素晴らしかった。 各キャストの今後も楽しみだ。
fragment edge No.9 『さいはてのペルシュ』
配信も多い時代に足繁く舞台に通うのはその世界に浸る為の空間があるからだ。 さいはてのペルシュはその空間が今年で最もよかった舞台に思う。 あの会場、あの音響、あの制作、関係する全てのものがあの空間を作り出していた。 シェルターに入るかのように地下に入っていく所すら、もうその世界に入り込んでいく行為だった。
そうして閉じた、制御できる系だからこそ、演出的効果は薄くできる。 ライトに色すらない。 衣装もほぼ白黒だけだ。 しかし、密やかな息遣いも、震える衣擦れの音も聞こえてくる。 僅かな感情の変化が浮かび上がってくる。
こんな体験は初めてだった。 普段から見えないものが見えるとは言っているものの、やってないものを勝手に妄想する事と、見えにくいものを浮かび上がらせる事は全く違った。 しかし、いやだからこそ、見えすぎるような感覚すらあった。 あの酔ったようになる感覚をまた味わいたい。
Reading Caravan『夜声』 -1st night cruising-
さいはてのペルシュとスタッフが近いからか、考え方は近いものの表現としては全くの別の方向だったように思う。 環境を閉じきってしまうのがペルシュで、環境を開いた上で使うのが夜声だった。
都心のビルの1階で明かりもほとんどつけずに静かな朗読劇をやるのだ。 当然、車のライトは入ってくるし、屋外の喧騒も聞こえる。 救急車は何台も通った。 しかし、人の住む街の夜はそういうものだ。 そういう街での物語をやるなら、それをそのまま使えばいい。
ただ、それは概念上の話である。 そんなに都合のいい音や光だけではないから何らかの形で制御したくなるだろう。 しかし夜声はそんな制御はせず、それでいて朗読劇として成立させていた。 正直、こんなのありかよという体験だ。 こうして振り返ってみても何であれで成立するのかわからない。 1stとつけるからには2ndで理解できるようになるのだろうか。 余計にわからなくなっている気がする。
舞台「アサルトリリィ」 -眞說・御台場迎撃戦-
アサルトリリィは規模から考えて演出はほとんど何でもできる。 ここができないなら他のガールズでも無理だろうという事ばかりだ。 だからこそ、最後の最後で印象に残るのは人の姿なんだという示すような場でもあると思う。
やはりあの天葉のシーンが最も印象的だし、今年に見た舞台の演出でも一番好きなものとも思うが、演出としては極めてシンプルなものである。 状態としてはただ走るシルエットが映っていただけだ。 実際にやろうとすると大変なのかもしれないが、それでも表現としてはシンプルなものだろう。 しかし、あのシーンこそが本作の最も象徴的なシーンだったように思う。 最後は人の動きや人の声こそが人に訴えかけるのだ。
舞台「女王旋律」
女王ステは嫌な気持ちになる終わり方が多めだし、アン様が出ると特にその傾向があるが、今回は単体として見るとそこまで嫌な終わり方ではなかった。 しかし、この後にすぐ虐殺が来ると思うと暗澹とした気持ちになる。 女王ステは悲劇なので嫌な終わり方にする事は自然だろうが、今回は作中で次に起きる事を考えると嫌な気持ちになるという違いを出してきた。 アン様を思うと辛いが、それを見に来ているので評価をせずにはいられない。
直感だけの人間なので第一印象で評価を下しがちだが、女王旋律は回を経る毎にかなり印象が変わったものだ。 初めはまぁまぁかなくらいだったのに、過去作へ意識を向ける度にどんどん味わい深くなっていき、すっかり気に入ってしまった。 まるで遅効性の毒でも飲んでいたようだ。 そういう感想自体が女王ステに染まっている気がする。
舞台『ヘブンバーンズレッド』
今年の2.5次元舞台の中では最もよかったと思う。 私は特別ヘブバンファンではないが、ゲームのリリース当初は触れていたし、今回舞台になった範囲は全てプレイ済みである。 その上で素晴らしい舞台化だと感じた。
そもそも出演者が2.5次元巧者ばかりだ。 どの方も寄せ方が非常に上手い。 特に太田さんは初めてお目にかかったけど、あのカレンちゃんをあそこまで演じられるとは驚異的だった。 あれは本当に見られてよかった。
そうした経験豊富なキャストの中で結那さんはそこまで作りきった2.5次元ではない感じがした。 だがそれが月歌に非常にはまっていたのだ。 何とか上手くやろうとするその姿が実に主人公とマッチしていたのだ。 しかも公演を経ていく中でアクションもすっかり様になっていった。 そのままキャストとキャラが成長していったのだ。 いや、本当にいい舞台化だった。
異空間リーディングステージ「アサルトリリィ」- RED - & - BLUE -
規模の拡大とキャラの増大に対処する方法として少人数での朗読という対応はよかったと思う。 これだけキャラが増えると運営の仕方もソーシャルゲームのようになっていると感じる。 今回は短編のキャラストーリーをやっているようなものである。
個別のお話がよかったというのももちろんあるが、ガールズでこうした舞台と朗読劇の中間のような形式が出てきた事自体が面白かった。 トップランナーだからこそ手を変え品を変え試しているというのがわかってよい。 次もまた違う事をしてくるだろうという期待が持てるし、それが業界に波及していけば尚更いい。 今年も色んなガールズを見たいからね。
まとめてみると、好きな題材か好きな表現形式のものから選んでいる事がわかる。 特に表現形式では初めて見るものにかなり弱いようだ。 知ったものだと先読みしてしまって先に印象が確定してしまうからだろう。 どういう観劇スタイルがいいのかも見つけていきたいものである。