アイドルアニメとミュージカルの定義

ここでいうアイドルアニメはアイドルが主役ないし主要人物となるライヴ主体のアニメを指す。 よって、例としてはラブライブやゾンビランドサガが挙げられる。 ウマ娘のようなライブはあるものの主軸がレースであるものは除く。

ミュージカルについては私は詳しくないので、歌唱や舞踊を含む演劇程度のふんわりとした理解としたい。 そういう意味ではミュージカルをオペレッタと読み替えても通じるのかもしれない。

両者の類似点

先に述べた通り、今回の対象はライヴ主体のアイドルアニメである。 したがって多くの場合で毎回ライヴシーンがある。 物語の展開によってはやらない回も存在はするだろうが、平均すれば2話に1回以上はライヴがあるだろう。

ライヴ主体とした通り、劇中のステージでライヴするというライヴシーンは実際多い。 ライブアイドルを扱うなら、ステージング以外の場面はその準備になりやすいだろう。 必然的にそのライヴパートがその回でのクライマックスになるわけだ。

勿論、ステージ以外での歌唱パートも存在する。 ステージに立つ前の練習パートであったりメインのアイドル以外によるものも多くある。 急にライヴシーンに切り替わってしまうパターンすらある。 しかしそのシーンの重要性は変わらない。 ライヴは感情を発露として扱われる。

これはミュージカルも同じだろう。 テンションが上った、テンションが下がった、歓喜した、絶望した、どう言ってもいいが感情の最大最小あるいは変化点でで歌とダンスが始まる。 たまにミュージカルは急に歌い始めるかのような言われ方をするが、泣いたり笑ったりする場面で歌うだけであって、泣く理由や笑う理由は提示されている。 表現の仕方が日常と違うだけだ。

似てしまう理由

アイドルアニメとミュージカルが似てしまう理由は単純で、歌やダンスが人の気持ちに訴えかけるものだろう。 そこまで一般化しなくても、商業的な成功を考えれば、そうした感じ方をする人が相対的に多いと考えられる。 少なくともこのような表現方法が忌避されているとは言えないだろう。

これはアイドルであればライヴに感情の極値や変化点を置くという想定や願望を抱かれやすいからという理由もあるのだろう。 アイドルにおいてライヴが大事だと思われているからこそ、主人公のアイドルを思って歌った友人のライヴシーンなども重要なものだと認知されるのだ。

相違点とアイドルアニメの劇場版で求められるもの

アイドルアニメとミュージカルの相違点はやはり曲数や全体での歌唱時間の割合だろう。 アイドルアニメのライヴシーンは大体が1曲で数分だ。 最終回で連続的にライヴやるような場合を除いたら、何回かライヴのない回をやった後に1曲か2曲で5分前後のライヴパートが最大だろう。 ミュージカルの曲は一節くらいのものもあるので比較は難しいが、時間で見ると全体の15-20%程度しか歌っていない。 ミュージカルだとそこまで短いものはあまりないように思う。

これが劇場版となると話が変わる。 特に既存のコンテンツの劇場化だとそれが明確だ。 今回ゾンビランドサガの劇場版が大変素晴らしかったのだが、見てみると体感として半分くらい歌っているようだった。 それだけ印象的なシーンは歌唱を伴うものであった。

アルバムの通り曲数としては9曲で、丸々使っても40分弱なので、映画に埋め込む事を考えると実際は30分弱くらいだろう。 しかし、それでも121分の映画なので25%は歌っている事になる。 TVシリーズよりは歌の時間が2割以上増えている。

これはゾンビランドサガに限ったものではない。 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章でも60分程度で5曲もあった。 これも通常の倍近い曲数である。 アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!- に至っては70分程度の映画で14曲もやっている。 構成や作風、1曲で流す時間はそれぞれにしても、明らかにTVシリーズより劇場版での歌は多くて長い。

これはアイドルアニメが劇場化されたらライヴシーンを見たいという需要があるからに他ならない。 また、アイドルアニメの劇場化と言ったらそういうものだという認識もできているように思う。 ライヴが大事だからこそ最後に1回だけやるという形式も可能かもしれないが、そういった例は思いつかない。

準備されたミュージカル回

奇しくも、ミュージカル回と呼ばれるものがある。 これは主に最終回などで急に芝居がかってキャラソンなどを歌いまくる回を指すものだ。 一種のお祭り回と言える。

私はこのミュージカル回がとても好きなのだが、あまり受け入れられてはいなさそうだし、その為か最近はあまり見ない。 実際、嫌いと言わないまでも意図がわからないという人は多いだろう。 販促の都合くらいは考えられるが、私も意図はわからない。 私は単純には色んなパターンのキャラクタが見られて嬉しいだけである。

これがアイドルアニメの劇場版になると話が全く変わる。 アイドルという存在自体が歌って踊るものだし、先述の通り劇場版ではそれが期待されている。 ミュージカル回はお祭り回という表現をしたが、劇場版はまさにお祭りだ。 告知から始まって制作まで見せてやっと公開となる。 テレビシリーズでの唐突なミュージカル回とは違う。 つまり、アイドルアニメの劇場版は準備されたミュージカル回なのだ。

まとめ

感情をライヴで表現していくというアイドルのイメージからアイドルアニメではライヴシーンは重要であり、その感情を表現するという歌という点でミュージカルに近しいものと言えそうだ。 特に劇場版ではライヴへの期待が強い事から益々ライヴシーンへ割く時間も増え、歌唱割合としてもミュージカルに近くなる。 最終回で唐突に始まるミュージカル回とは違い、アイドルアニメの劇場版は期待されてミュージカルになるのだ。

そして劇場版『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』を見よう。 最高だ。